O 私の提案する最後の仮説
@ そこで以下に、大ピラミッドの隠された、秘密の部屋に到達するための、「最後の仮説」を申し上げます。第一には、この「王の間」は、終点ではなく「入口」だということです。この最後の部屋は、実は最初の部屋であり、何もない部屋だからこそ、全てが満ち溢れた部屋に繋がる、入口の部屋であるということです。本当の部屋は、その先に閉じられているのです。ではそこに至るには、どうすればよいのでしょう。その答えは、ここに残されている石棺にあります。入口はその石棺が、示してくれるのです。
A 石棺を見て下さい。石の角が一箇所、大きく欠けているではありませんか。何故かけているのでしょうか。重たい石蓋があったから、中を見るために、あるいは石蓋を動かすために、こじ開けた跡だと言われています。ですが、こじ開けなくとも、石蓋をずらせば、あるいは持ち上げれば、いくらでも中を覗いて、見られる構造になっています。ちょっと重たいでしょうが。ですから、こじ開ける必要もなく、石の角をわざわざ砕く必要はなかったのです。ですが、欠けています。なぜでしょうか。そして、上の石蓋は、どこへ行ってしまったのでしょうか。
B これらの状況から導かれる唯一の答えは、まず、「石蓋は最初から無かったのです。」石蓋があれば、いくら強欲な墓盗人でも、重たいばかりで金にならない蓋を、砕いて記念に持ち去る、ことも無いでしょう。そこには、かけらが残ります。そのかけらもないということは、最初から無かったのです。では石蓋がないのに、何故角を欠いたのか。ここが問題です。次の答えは、それは建設の最初から、わざと角を欠いて置いたのです。何故欠いて置いたのか。完全な状態では困るからです。何故ならその場合には、盗掘者たちに容易に、気付かせてしまうからです。
C 次の閉ざされた秘密の、入口へ入るには、どうしたらよいのでしょう。部屋の周囲の石壁を叩いても、床を叩いても、呪文を唱えても、香を燃やしても、音楽を奏でても、何をしても入口は開いてはくれないでしょう。何の手掛かりもないのです。しかし、ただひとつ残っている方法があります。それが石棺です。その石棺を、おもいきりナイルの水で、満杯にしてみましよう。しかしそうすると、欠けたところから水がこぼれて行きます。そのため満杯にはなりません。満杯にならないようにした、これが石棺を砕いた理由です。満杯にはなりませんが、さてそこで、この石棺の欠けた処を補って、満杯にしてみるのです。それを、建設者のトートは求めているのです。
D しかしこれには、実行する時期も重要です。それはオリオンと、それに襲い掛かるおうし座が、頭上にあって、次に牝牛座の頭上に輝くシリウスが、夜明け前の東の天に、輝き始める「ペレト・セペデト」(=シリウス星の夜明け前出現)のときです。それは毎年7月の下旬頃です。太陽が昇る直前の瞬間です。ピラミッドの体内の奥深くに、秘蔵した時計が、トートの暦が、動き始めるその時期を、刻んでいるのです。シリウスが、すなわちイシスが、東の薄明の空に突然輝き、やがて石棺が満水になった重みを感じたときに、石棺は沈み始めて、そこから神秘の入口が開かれるのです。(インディ・ジョーンズみたいですね。)
E それでは、その入口から、ピラミッドの秘められた体内へ、入って行ったら、何があるのでしょうか。そこには、オシリスとイシスとトートの一族の、美しくも雄大な、そして何より悲しい、民族の伝承が語られた、石版の記録を納めた部屋があるのでしょう。星を調べて、悲劇の原因を明らかにして、神々の由来を綴りこんだ書物。文字と文化と、卓越した建設能力と、人間の様々な秘密を明らかにした文書。魔術の根本を教えてくれるタブレット。
さらに、そうした記録に囲まれて、その部屋の真白な石舞台の上に、何人ものイシスが、永遠の眠りから復活するときを待って、横たわっているのです。それは、永い旅路の果てに、このナイルに辿り着き、オシリス王との黄金の時代を過ごした、美しい女神イシスです。そしてイシスの血と魔術を、320年に及んで伝えてきた、13人の娘たち、その場所はなんびとも、犯してはならない最も神聖な、神の冥界の王国、ドウアトです。そして、隣の第2ピラミッドの中には、偉大なる14人の王オシリスが、民族の知恵の書と、歴史の記録を手に持って、立ち上がる時を静かに、待っているのです。時はもうじきです。
さあそれでは、その奇跡の入口の探査に、チャレンジしましょう。