『天皇は吉野のあたりを見たいと思われて、巡行され吉野に着いた時、人がいて井戸の中から出てきた。その人は体が光って尻尾があった。天皇は「お前は何者か」と問われた。答えて「手前は国つ神で、名は井光といいます」と。これは吉野の首部の先祖である。さらに少し進むと、また尾のある人が岩を押しわけて出てきた。天皇は「お前は何者か」と問われた。「手前は岩押分の子です」という。これは吉野の国栖の先祖である。』
これらの記録?によれば、こうした尻尾族は井戸や洞窟の中から出てきたということからすると、地底や地中に居住する種族であり、しかも体が光っている不思議な形質を持っている。光っている理由とは、爬虫類のような皮膚で、しかも無毛なので、太陽の下では反射して照り輝くのではないか。ダイノサウロイドが、もしいたとすれば、その末裔を思わせるものではなかろうか。そしてこの尻尾族は「神」と名乗っている。そうすると、彼らはヤハウェ神の一族なのだろうか。
もっとも識者はこの「尾のある人」のことを、動物の皮衣を着た人々で、その動物の尻尾がそのまま垂れ下がっていたことから、尾のある人と書き留めたのだろう、としている。しかしいくら古代人といえども、動物の皮を着て、その尻尾がそのままになっているのと、その人に尻尾が生えているなどということの、見分けがつかない「愚か者」と切り捨てるのは、学者の僭越行為だろう。もっとも、その記述を事実と認めるならば、それを解明する必要が出てきて困るには違いない。
さて、ヤハウェ神の実姿から想定されるものに、ダイノサウロイドとは関係のない全く別の種族で、こうした人間型の科学文明力を駆使しえる種族を探すとなると、まったく畑違いのものになるが、ひとつの有力な候補が存在する。それはUFOマニアたちの中で取りざたされるものだが、UFOの乗員とされる中の代表的な存在である「グレイ」という宇宙人?である。
それを見たという各種のUFO情報によると、グレイというのは身長120〜150cmで、爬虫類のような肌をして、頭部が不釣合いに大きく、大きな目と裂けた口を持っているという。しかも耳が見当たらず、どうもテレパシーで交流しているようだという。これもまたヤハウェなるものに、イメージがよく似てはいないだろうか。しかもUFOという最先端の科学技術力を駆使して、天空を縦横無尽に駆け巡っている。仮にグレイが「主なる神」ならば、彼らの行動パターンでは、人間の前に神として現われるときには、自分たちの「貧弱な」姿を現したくはないだろう。だからそうした顕現をしないで、夜の闇の中で、光を操りながらテレパシーで語りかけるだろう。
さらにグレイと遭遇したと主張する者の話では、彼らのひとりひとりには個性はなく、名前も無いようで、桃太郎飴のように、どれも一緒の存在のようだ。彼らの持つテレパシーでの集合意識(あるいは集団意識)というものが、「主」なる神ヤハウェを意味している、ということもあるのだろうか。もっともこのグレイなるものは、公式には存在を確認されていない。果たして実在するものか、現段階では不明だ。ただ、その出現を伝えたものに、下記のようなものがある。
1947年7月3日の夜、アメリカ南部ニューメキシコ州の高地砂漠地帯にあるロズウエルに、UFOが墜落して、牧場周辺の数キロ範囲に残骸が飛び散った。牧場の管理人からの知らせを受けて、現場に最も近いロズウエル消防署のダン・ドワイヤー氏らは、消防車とパトカーで、軍より一足早く現場に到着したところ、2体の遺体と、瀕死状態ながら生きて動いている1体の生き物を見た。容貌は人間に似ているが、相違点は、身長120cmくらい、黒く大きな両目、非常に小さなスリット状の鼻と口、大きな頭、耳の辺りは窪んでいて、皮膚は灰色がかった茶色で、無毛である。(銀色の服を着用していたという話もある)、
その生き物は、絶望的なまなざしでドワイヤーらを見つめたが、そのとき突然、頭の中にその生き物の声が聞こえてきた。テレパシーである。居合わせた消防士たちは思わず顔を見合わせて、「今の声を聞いたか?」と確認しあった。全員が無言でうなずいた。ドワイヤーが「何かわれわれに助けられることはあるか?」と尋ねたところ、生き物は『何モアリマセン』と答えた。そして、『私ハアナタガタニ害ヲ及ボス存在デハアリマセン』と伝え、さらに『私タチハ長イ間、アナタ方ヲ見テキマシタ』と言ったのである。やがて軍関係者が到着し、消防士たちは現場から追い出された。その後の異星人たちの公式の消息はなくなる。(ムー・2010.11月号「ロズウエル墜落UFOと異星人」文・並木伸一郎)
またこうしたUFO情報の中には、アメリカのニューーメキシコ州ダルシイの地下やネバダ州のエリア51地区には、アメリカ政府とUFOを操る異星人とが共同で研究に取り組む地下基地が存在し、双方のおぞましい密約に基づく様々な人体実験や、人間と異星人とのハイブリッド創造などが行われている、ということが言われる。こうした情報は、公式には確認されないために、捏造や偽情報である可能性もあるのだが、全くの虚偽情報かといえば、そうとも断言できないところだ。
そこでもし、ヤハウェとそのグループが、グレイと呼ばれる異種族であって、太古の時代から地底深くか、天空それも月の地中深くに住むような、高度科学力保有集団だとするならば、地球各国の政府に対する彼らの外交交渉というのはどういうものになるのだろうか。太古よりこの200年ばかりの極く最近の時代まで、彼らは人類文明を「ひそかに」「宗教的に」コントロールしようとしてきたのだから、現代になって突然表から堂々と、各国政府に公式に接触し、直接人類とコンタクトしようとはしないだろう。やはり地底から密かに人類を操り、その歴史に介入して、人類を彼らの奴隷として使役しようとしてきた歴史を、継続させるのは必定ではなかろうか。
とすれば、アメリカ政府と秘密裏に盟約を結び、彼らの土地や資材、人的協力を提供させて、密かに研究を進めるというのは、彼らの利益にかなったことではないか。しかもこうした秘密裏の接触を軸に、多大な犠牲を捧げさせて、国民全体を彼らの描く未来へ導こうとするのは、まさしくヤハウェが3300年前にモーセとその民に試みたやり口そのものではないだろうか。
また、こうした秘密の地下基地が置かれている周辺市域では、よく「キャトルミューテーション」という惨事が起きているという。これは牛などが体中の血液をすべて抜き取られて殺され、放置されたものだ。ヤハウェとそのグループが、アメリカ軍に協力する見返りに、そうした食料調達の許可をとっている、ということならば、なかなか筋道が通っている話しではなかろうか。
空飛ぶ円盤状の物体に乗って、地球を自在に移動する爬虫類型のテレパシー生物=グレイ。UFOに関わるこうした情報が事実に近いものだとすると、このグレイと呼ばれる生物は果たしてダイノサウロイドのような地球起源のものだろうか。それともその正体は、遥かな銀河の中心か、もしくは他の太陽系からやってきた宇宙人なのだろうか。あるいはそれ以外の、全く想像することも困難な、5次元世界からの侵入者なのだろうか。
グレイがダイノサウロイドの末裔だとする説には、可能性があり、状況証拠も若干はあるものの、確証は今のところない。それでは、グレイを地球の外からの侵入者だとすると、確実な証拠はあるのだろうか。次はそれを検証する。
UFOに関する情報は、現代社会に限らず古代の日本でも散見される。平安時代に成立した「扶桑略記」には、推古4年(596年)飛鳥寺の竣工供養が行われていたとき、突如上空に、蓮の花に似た天蓋のような物体が怪光を発しながら自在に浮遊したという。参集した貴族や僧侶たちは、ただ唖然として眺めるだけだったそうだ。江戸時代にもこうした記録はいろいろ残されている。おそらく世界中には、古代からこうした未確認飛行物体の目撃情報は頻繁にあったことだろう。また、インドの叙事詩「マハーバーラタ」や「ラーマーヤナ」には、核戦争と並んで、UFOを操って地球を上空から探索する話しが出てくる。他にもこうした記録はたくさんあったに違いない。ただそれは、その時代の人間の常識を超えるものだから、ほとんど妖怪や物の怪のたぐいで終わっていたのだ。
そしてなんと、現代の私たちの時代でもなお、UFOは、現代社会にある高度な科学力をもってしても、未だ、その存在の有無自体すら解明できていない。ましてやそのUFOの中の乗員であるグレイなどというものは、今もまだ、「おとぎばなし」の状態にあるのだ。UFOの真実の情報を持っているものがそれを正確に公表するか、またはUFOが公式に人類社会へ接触をしてくる以外に、解明の手段はいまのところない。そういう中で、UFOの出発地と起源を明らかにするのは並大抵ではないが、しかし推論を正しく進めれば見えてくるものもあるだろう。
まず、彼らUFOとグレイが実際に存在しているとしよう。そして彼らは、@地球の中から、A地球軌道から、B地球の近隣惑星(金星・火星)または月から、C太陽系の外から、やってきた者たちだとすると、どういう推論ができるのか。
最初の、@地球の中からやってきたとする場合、
そうすると地球の中には、つまり地底の奥深くに、グレイに限らず、彼らの食糧体系も含めた地底の自然世界が広がっている、ということにならねばならない。UFOを製造する工業社会がそこに存在していることになる。当然グレイの都市も築かれていることだろう。地球のおもてに対応する「地球のうら」の世界である。ただし、地底の中だから、おもて側と大気や水は共有していることだろう。
地底深くに入れば、たぶん地球のおもてほど寒くはないようだ。深さによっては、快適に過ごせる暖かい場所もあるだろう。だが、エネルギーの基となる太陽までも共有するわけにはいかない。その地底世界には、太陽に代わるエネルギーは存在するのだろうか。それがなければ、全くの闇の世界で、植物も成長せず、食糧も自給することはできない。
それとも煮えたぎる溶岩などをエネルギーとして利用しているのだろうか。だが、それを利用できるような進化をする前に、彼らは地底の中で死に絶えてしまうに違いない。酸素呼吸する生物である以上、植物がなければ、酸素を供給してくれないだろうし、その植物が育つ環境にないのは歴然たる事実である。
もっとも、地底世界を見てきたというノルウェー人漁師のオラフ・ヤンセンの体験談によれば、地球の内部は空洞になっていて、その直径は地球の直径12,800kmのうちの12,000kmだという。その空洞の中心にスモーキーゴッドと呼ぶ擬似太陽が輝いていて、植物が巨大に生い茂って、たくさんの動物がのんびり暮らしていたという。(「地球内部を旅した男」徳間書店)
もし、こうした環境が存在できれば、太古の昔からダイノサウロイドたちもゆっくりと進化の階段を上がって、やがてグレイとなって、科学技術力を発展させてUFOに乗り、地球のおもてにやってくるということもありえただろう。しかしこの話しは、おとぎばなしとしては面白いものの、現代の物理学や地球惑星科学では到底想像できない、常識を超える話なのだ。
地球の内部については、地球上の多数の地点で、地震計を使って地震波を観測し、それを解析することで内部の様子が推定されている。その結果地球の半径6400kmのうち、地殻部分が4-50km、マントル部分で2900km、外核が2080km、そして鉄で構成される内核が1390kmと算出されていて、地球の中心にはマントルや核が詰まっていて、それが引力などの力でかたく引き合っている、というのが常識なのだ。
その常識を打ち破るには、地球のように回転する惑星は、遠心力で内部が空洞になるのが正常な姿だ、ということが科学的に証明されるか、または地底内部へ入って、その様子を公開する以外にはないだろう。地底内部を公開する場合は、体験談のような創作し得るものではなく、客観的に第3者が検証できるものでなければならない。
ただし、中心が空洞ではないにしても、外側の深さ50kmはある地殻の中に、ところどころに空洞世界がありうることは否定できない。そうした空洞の中で、下にあるマントルの1000度近い熱源からくるエネルギーを利用して、各種の生物が育くまれ、それで生命現象が循環することもあるかも知れない。ただし、その中の生物からはとてもヒューマノイド型の姿には、進化し得ないだろう。なぜなら、地表から地下へ降りてきて住み着いた、ヒューマノイド型生物がいたとしても、のしかかる重力と希薄な酸素によって、「へび」のように岩石にへばりつく生物へと、退化してゆくしかないだろう。したがって、地底空洞世界にUFOとグレイの基地がある、という説は成立しないと思われる。
Aの地球軌道からというのは、一部のオカルト研究者がとりあげている、地球の対面兄弟惑星「ヤハウェ」のことを指している。地球には双子の兄弟惑星が存在し、それは太陽を挟んで地球の軌道上の正反対の場所を、地球と同じように周回しているのだ、とするミステリアスな説である。同じ軌道を共有しているのだが、常に相手は太陽の向こう側にあるため、観測することができないという。
仮にそうした惑星が存在して、そこに海や陸地があって生物が住める条件ならば、こんな素晴らしい別天地はないだろう。グレイたちは勿論、いろいろな動植物が繁茂していることだろう。グレイたちはそこで知的進化の最高段階にまで到達した爬虫類として、高度な科学技術力を駆使して、文明社会を築いている可能性がある。もしそうだとすれば、やがて宇宙にまで飛躍し始めた彼らは、いつの頃か兄弟惑星の地球を訪れ、人類を観察し、様々な干渉をしようとするのは間違いない。その場合に彼らが注意することは、自分たちの惑星「ヤハウェ」を徹底的に秘密とし、地球人類がその惑星に気付くことがないようにすることだ。そして、人類が宇宙空間へ飛び立つことを阻止し、様々な観測衛星やロケットによる調査を妨害しようとすることだ。
そうすると、地球に現われるUFOやグレイの暗躍は、地球社会の進歩発展を妨害するためのものでもある、とすると一見つじつまが合う。UFOやグレイは、まるで幽霊のように神出鬼没にふるまい、時には変幻自在であり、決してその素性を知られたりすることがないように行動する。こうした行動をとっていれば、地球社会におけるUFOやグレイに対する評価を混乱させ、オカルトの分野へ分類させることで、まっとうな研究が及ぶことがないようになる。その結果、UFOや宇宙人についての認識や、さらに地球の兄弟惑星などという概念は、頭のおかしいオカルトマニアのものとみなされ、真実の姿を永く隠しておくことが出来るだろう。
また、もし惑星「ヤハウェ」が存在するとすれば、その惑星では流石に、地球にとっての衛星である「月」のような巨大衛星は存在していないのではないか。月はあまりにも偶然が重なった不思議な存在であり、そうした偶然が更にもう一つ兄弟惑星に存在する確率は、天文学的になるのは間違いないからだ。
「月」のような巨大衛星が存在しないとなれば、その惑星「ヤハウェ」には海の干満はなく、地球よりは相対的に大きな重力の影響で、生物も小さいだろう。もしダイノサウロイドたちがその惑星を発見していて、小惑星衝突の起きる前にそこへ避難していたとすれば、あるいはその惑星で誕生した生命から進化したものだとすれば、彼らの小さな身体や、長い歳月の割には進歩の度合いが、ゆるやかなことの説明ができるのではないか。
さてそこで、こうした兄弟惑星が存在する可能性を検討してみたい。問題はやはり「月」の存在である。「月」は自転するとともに、地球の自転にも影響を及ぼしている。その結果、太陽の周りを廻る公転周期にも少しずつ影響を与えてゆく。一方「月」を持たない「ヤハウェ」の自転と公転周期は、ほとんど変化することがない。その双方が、地球誕生以来の40数億年を経過したならば、月の及ぼす周期のずれによって、徐々に両惑星は軌道上を近づいて行くことになる。そして一定の距離を超えたならば、そこには破局的な大災害、すなわち惑星衝突、というカタストロフイーが待っている。40数億年もあれば、もうそれは起きているに違いない。そうなれば、今なお太陽を挟んで一直線に並んでいられるだろうか。「ヤハウェ」が太陽の影で全く見えない、という偶然が、人類の文明史数千年の中でも続いているということは、「ヤハウェ」が存在しないことの証明でもあることになる。
またもう一つの側面から見てみよう。この「ヤハウェ」は地球からだと、太陽を挟む位置なので見えないにしても、宇宙空間へ出れば、同じ軌道を廻る地球並みの惑星なら、直ぐに見つかるものではなかろうか。月面探査や宇宙探査での数々の写真やデータがありながら、今までその片鱗も見つからないということが信じられない。しかし、夢があって面白い仮説なので、天文学者たちにぜひ検証してもらい、早く引導をわたしてもらいたいものである。
Bの、地球の外からやってくるというのは、一つは月の世界からであり、もうひとつは火星や金星などの近隣惑星からのものを指している。地球の近くにあるこうした惑星や衛星に生命反応があるのかといえば、これまでの探査では水ですら発見されていない。酸素も水もない状態で、グレイなるものが長期間に亘って、そこで進化し生存しえるのかといえば、疑問である。
最初に金星から見てみると、半径は6千キロで、地球と同じくらいの大きさである。自転はかなりゆっくりしていて、地球時間で243日。表面には、二酸化炭素を主成分とする厚い大気があり、温室効果のため表面温度は400度を超えている。また表面付近の気圧は90気圧に達していて、いずれも生物の棲めるところではないことを示している。これらは、探査機「マゼラン」などによる観察データで確認されていることだ。となれば、グレイやダイノサウロイドがそこで成長し、進化し、生活を営むことは不可能である。ただしこれも、公にされているこうした金星のデータはすべて捏造か、誤謬されていて、実際には地球と同じような生活環境となっているのだ、と信じ込んでいるアダムスキー型UFO信者にとっては、何の障害にもならないだろうが。
次に火星だが、「マリーナ」や「バイキング」などの探査機(着陸も含む)によるデータによれば、半径は3400キロで地球の半分に近い大きさ。二酸化炭素を主成分とする薄い大気が存在し、保温効果が小さいため、赤道付近の平均気温はマイナス50度。一部で水蒸気の雲が見られたことから、もしかしたら微生物などが発見されるかもしれない。しかし、水も植物もなにもない砂漠のような、火星表面の写真からすると、高等生物がそこで生きていることは考えられない。一部では、火星表面のあちこちに、巨大ドームがあって、その中に人工自然が形成されていて、それで生物は生きながらえているのだ、と主張するむきもある。そうだとすると、巨大ドームが造られる前の時代には、グレイたちはどうやって火星で進化し、生活していたというのだろうか。
月についていえば、月面上ではなくその内部に空洞世界が広がっていて、そこに都市や自然が人工的に創られているのだ、という説を唱えるむきもある。しかしいくら内部が隔離されているとはいえ、水蒸気や酸素が外へもれないことはなく、また内部でどういうエネルギーを使用しているのか、ということもあり、それらが月探査で隠しおおせるものではない。今現在は、そうした異常な事象が発見された、と言う情報は伝わってこないようだ。(ただしこれについては、月面に地下から噴出したとみられる、大量の水蒸気噴出が観測されたことがある、という情報もある。)
また、内部に生活空間が存在するとしても、当然出入り口が必要になる。それが月の裏側である場合、地球からは見ることは出来ないのだから、その出入り口周辺には、モニュメントや都市なども創られることだろう。だが、日本の優秀な月探査機「かぐや」が、月面の全てをなめるように撮影しても、出入り口は勿論、そうした異物はひとつとして発見されなかった。
ただし、月にはいくつかの不思議な事実が存在はしている。例えば、太陽系の他の惑星と比べると、主人の地球に対しての衛星としてはあまりにも大きく、しかも地球を回転する周期と自転周期が同じために、常に表側を地球に向けている偶然。また太陽と地球と月の大きさと配置が絶妙なため、地球から見て日蝕が起き、月食が起きる偶然。さらには、月のお陰で海の満ちひきが起き、そこから生命の律動が始まっている偶然。実に多くの偶然による事象を、月は提供しているのである。もし月の様な衛星がなければ、地球では生命活動は始まらなかったのではないだろうか。そこには巨大な叡智による配慮というか、知的生物体を産み育て、それを宇宙に散らして、宇宙環境を整頓して行きたい、というサムシンググレートによる意図が、存在することを感じさせる。だから人類は永い歴史の中で、「月」を愛でて、そこに哀愁や厳粛な美しさを、感得してきたのである。
とはいえ、誰かがその月を遠くから運んで、地球の周回軌道に乗せたという「月人工天体説」となれば、さすがにそれを証明することは困難である。
さてCだが、グレイたちは太陽系の外からの侵入者である、という説を見てみよう。
太陽系に最も近い恒星はブロキシマ・ケンタウリで、約4.2光年離れている。もし恒星間宇宙船が出来たとすると、その性能にもよるが、そこへ到達するには最短で、片道6年から14年の歳月が必要とされるという。地球から見える最も明るい星のシリウスならば、約8.6光年離れているので、その倍の年月が掛かりそうだ。また、太陽系から15光年以内にある恒星はおよそ50個で、それらに到達するにはおそらく片道5-60年の歳月が必要になってくる。往復するには人の一生では足らないので、宇宙船の中では冬眠を続けるか、それともロボットと一体になった体となるか、あるいは世代を継いでやってくることになるのではなかろうか。
UFOを利用して瞬時に恒星間を飛行し、日常的に地球を観察に来る、とまで科学工業技術が進んでいるとは考えにくい。そうした究極の進歩を遂げている異星人社会ならば、人間社会への愚劣な干渉をすることはあり得ない。どんなに進化していたとしても、せいぜい往復百年程度の歳月をかけて、母星から地球へとやってきて、一定の観察と資料収集を繰り返して、果たして来たと見るのが妥当なところだろう。その場合、通常見られるUFOは子機であって、恒星間旅行には別に巨大な母艦が必要だろう。たしかに、巨大な「葉巻型UFO」を見たといった航空関係者もいるようだ。そこで、それに乗って仮に数十〜数百光年を超えてやってくるためには、道中では、乗員の大半は食糧と延命の関係で、冬眠状態に入っているのが効率的だろう。その点では、冬眠することのできる爬虫類属の生物なら、なおさら都合が良い。地球誕生より46億年を経過しているその期間に、そうした近隣の恒星でそうした生命体が誕生し、宇宙へ飛び出すほどに進化している可能性は、ありうるかもしれない。
そうした大旅行を続けてようやく太陽系にたどり着き、生命の溢れる美しい地球を発見した異星人たちが、仮にいたとする。その場合の彼らの行動を追ってみよう。
彼らは早速この惑星を探査し、様々なデータや生物の資料を収集しただろう。地球の珍しい物資や動植物などは恒星間宇宙船に積まれて、故郷の星との間を往復し、こうした遠征隊は数千年に亘り、数次〜数十次にまで続けられたことだろう。数十年の月日をかけて、母星から地球へとやってきて、一定の観察と資料収集を果たして、往復するこうした異星人たち。だが彼らにとって、地球の生態系をひそかに観察するだけで、来訪の目的は終わるのだろうか。そうではなく、地球の環境が自分たちに合っているなら、そこに前進基地を設け、長期的には一部の隊員を残して、積極的に植民しようと試みることになるに違いない。しかしなぜか、そうした前進基地(エデンの園か)は放棄され、永続しなかったような気配だ。
異星人にとっては地球以外にも、探勝の対象となる惑星は数えきれないほどあったのではなかろうか。そうした数々の異星を探訪した経験を持つ彼らにとって見れば、当然新しい知的生物の住んでいる惑星に対する観察については、一定の規則を持っていたのは間違いない。そういうことから、地球に生息する知的生物としての類人猿についても、そうした規則をもとに対処をしただろう。地球の類人猿もしくは古代人類は、おそらく貴重な存在であるために、特に配慮が必要で、彼らに生活手段を与え、若干の文化を与えることで、知的発展を促すことは、ある部分学術的にも有意義だったとしても、おのずとその干渉範囲は限定されたものとなっただろう。
では、彼らが地球に対して持っていた基本的な方針とはどんなものだろうか。地球人たちが異星へ到達するときの立場を多面的に想定すれば、以下のようなことが推測できるのではないか。
A 「他の惑星で、発展途上の知的生命体を発見した場合は、その成長過程に干渉してはいけない」という先進文明の連合体によって定められた宇宙法令がある、のではないか。勿論、捕獲して使役したり、種族を絶滅に追い込む、などということは問題外であって、絶対に許されないことだったろう。いうなれば「生物多様性条約」の宇宙版である。この場合、絶滅しそうになった場合は、それらの種族を保護し、繁殖させるために、最低限の干渉をすることだけは許されるだろう。例えば、収容する自然園を設け、そこで繁殖や病気治療などの施術をし、自然環境で生きてゆけるような力をつけさせる。(・・これって、「エデンの園」の役割ではないのだろうか。)
ただし種の中での格闘や食糧としての狩り行為などは、「自然のなせるバランス作用」として、いずれかに加担せずに、観察することが求められている。
B 彼らが宇宙探査で発見した生命体の存在する惑星は、地球に限らず多々あるのだが、彼らは未だ宇宙連合を構成するような異星人に遭遇していない。しかし発見した生物惑星に対しては、Aのような規範を彼ら独自に確立し、自制しているのであって、地球に対してもそれを準用してきている。
C 地球という惑星の環境(酸素濃度や大気組成、あるいは太陽光線の強度など)が彼らの身体にとっては、苛酷な条件であって、恒常的には住めない場合は、「自動監視ロボット」を置いて、各種データを中継点(月か火星か)経由で母星へ送信している。仮に別の異星人集団が現われたり、地球生物に大きな危機が迫って来る場合は、母星から救援隊を派遣することになるだろう。
D 地球の環境が彼らにとってそんなに悪くない中で、遠征隊の指導者層の中で、地球生物に対する対処方針が食い違い、一部の指導者・隊員が帰還を拒んで、隊を離れて地球に土着しようとする。あるいは逆に、帰還を許されずに、「不良分子」として一部の指導者・隊員が地球へ放逐される。(帰還用の恒星間宇宙船を作る技術と資源は当時の地球にはない。)そういったことも起こり得たのではないだろうか。
その場合、遠征隊では「不良分子」が間違っても葉巻型UFOなどを製造して母星へ逆襲したり、近隣惑星を汚染することがないように、常に観察するために「自動監視ロボット」を配置しておいて帰還しただろう。「不良分子」たちは監視ロボットに見つからないように行動せざるを得ず、そこで地球生物としての人間を前面に出して活用し、いずれ人間たちに監視ロボットを破壊させて、そのときに地上へ堂々と復活を果たすことになるのだろうか。
こうした恒星間宇宙船内での指導権争い、そして敗れた陣営が地上へ追放されて、地底に潜り込み、天界からの監視の目を逃れて、地上の人間たちに影響力を広げようとする、それは充分想定できることで、太古の時代にそれが起きたとすれば、彼ら「不良分子」たちはまさしく、天から地上に落とされた堕天使と言われたことだろう。
さて、グレイたちが太陽系外からの侵入者の末裔であり、あるいはグレイは侵入者の「自動監視ロボット」の末裔であるとした場合、このように彼らの本拠地が、地球から数百光年を隔てて存在する星だとすれば、ヤハウェたちの不在がときに数百年に及ぶことの説明もつきやすい。
また、ヤハウェたちが地球の知生体である人類を手なずけて、その社会に干渉しようという意図を持っていたのは、旧約聖書によって明白だが、その動機の一端が見えてくる。こうした人類への干渉というのは、宇宙法令や遠征隊規律に、明らかに違反することになることだろうが、そうとすれば、おおっぴらには出来ないことであっただろう。
そこで、山の中に本拠地を設け、出現する時は雲を纏って、人の目に触れないようにして、監視の目を逃れるとともに、テレパシーを使い、夜の暗闇に乗じて行動するしか、方法はないのではないか。とすればこうした行動を取っていたヤハウェ集団というのは、「天から地上に落とされた堕天使」、と推測したほうが理解しやすい。
今地球に現われているUFOといったものは、こうしたヤハウェ集団を監視し、暗躍を許さないように監視しようとする、彼らの母星からやってきたものも含まれているのだろう。
そして最後に、もう一つの、もっともやっかいな、5番目の仮説が浮かび上がってくる。
グレイなる生物は、そしてヤハウェたちの悪霊も、私たちの地球と、場所を同じくしながらも存在するという、私たちの次元とは次元を異にする、異次元の世界からやってくる生物だ、という説である。
一部にはそうした推論を主張するものもある。仮に彼らが異次元からの侵入者だとすると、これは怪奇小説の作家ラブクラフトの世界となり、到底筆者の想像の及ぶところではない。だいたい、ひとつの場所を、いくつもの次元が共有すること自体が、理解しがたい概念である。
ちなみに最新の物理学の説明によると、我々の住んでいる宇宙世界は4次元であり、ほかに6つの次元が存在するものの、それらは4次元にいるものからは見えない。しかもその6つの次元はビッグバンの始まりのときに潰れてしまっていて、5次元だけが別個に存在している、とする。それが、4次元世界と平行して存在する「影の世界」ではないか、という説である。その証拠物として、暗黒物質(ダークマター)が挙げられる。これは我々の世界には何の作用もせずに全ての物質を貫通するのだが、ただ重力相互作用だけはするので、これは影の世界の重力が流出しているからではないのか、ということからの推論である。
しかしグレイやヤハウェたちが、こうした影の世界や5次元世界などから、4次元世界へと自由自在に出入りを繰り返し、4次元世界の人類へ干渉を繰り返すというのはあり得ることだろうか。そこまで人類に、大きな興味があるものだろうか。
この大宇宙には数百億個の銀河があり、その銀河それぞれには1,000億個に及ぶ恒星が輝き、その恒星の周りを様々な惑星が回転しているのだ。5次元世界などからちょっと覗きにくるのなら、地球に限らずもっと面白い惑星も数限りなく存在し、また銀河や恒星の様々な天体ショーもあるのだ。ちょっと人工衛星に乗っただけで、人は美しい地球と大宇宙の神秘を見て、厳粛な感銘を受ける。ましてや大宇宙に展開する銀河の興亡やドラマを見て、厳粛かつ神聖な感慨に打たれるのが、普通の者の感覚なのだ。
そうしたことが自在に出来る力を持ちながら、異次元へ侵入し、そこにいる人型生物の生態やその中の固有分子の環境改変に、あきることもなくエネルギーを注ぎ続ける、というのはそれこそ「おとぎばなし」ではなかろうか。
それも全ての人類を、まるでアバターのように、奴隷のように自在に操って、自分たちの手足として、バーチャルゲームを遊ぼうというのならば、次元を超えてやってくる理由となるかもしれない。その場合は、地球自体が「仮想世界」となっているだろう。多くの人間が自意識を奪われ、肉体を持ったロボットとなって、侵入者の意のままにされているだろう。
だが、それならば大方の人は、自分の自意識を振り返り、また家族や友人知人の様子を見て、気がつくのではないか。悪霊か狂気にとりつかれて、突然超人的な力を発揮し、他者を大量殺害して、金銀財宝や権力をわがものにする、などということが、いたるところでひっきりなしに発生する、それならば異次元からの侵入者がいるのかも知れない。
もっとも人類の歴史を振り返れば、そうしたことが疑われる時代や世界もあったことは間違いない。人間を生け贄にしていたのがマヤの世界であり、マルタ島の古代フェニキアであった。他にも多くの国家や世界が非条理で残虐な歴史を創ってきたのだ。そしてそのひとつが、ヤハウェの歴史でもあったのだ。
こうしてUFOがどこからやってくるのかを考察すると、地球内部説も、火星・金星と月説、同一軌道の兄弟惑星ヤハウェ説、そして太陽系外の近隣恒星説など、そうではないかとする主張はあっても、いずれにもそうだとする証拠は勿論、可能性すらもほとんどないのが事実でなかろうか。これまでの不確かな情報では、いずれにも決することができないのだ。グレイやダイノサウロイドたちが生息している場所を、推定しようとしてみても、いずれにも決定的な証拠となるものはない。地中の中に空洞世界の小規模なものは存在し得ても、地球中心の空洞説は成り立ちがたい。地球と同じ軌道を歩む兄弟惑星「ヤハウェ」なるものは、存在し得ない。また、月や金星・火星に巨大な自然環境と基地を設けている、という説には根拠はない。
ただこうした説の中で、唯一可能性があるとすれば、太陽系外からの飛来説だ。何故なら、そうしたことは起こり得ない、とする証明ができないからである。人類に先立つ数千万年前に、もしこの宇宙のどこかで超先進文明が育ち、地球を訪問していたかもしれない可能性は、あったかもしれないし、なかったかもしれない。その確率は1%以下かもしれないが、0ではない。そこで太古の時代に、もしそうしたことが起きたとすれば、それは人類にとってどういう影響を与えることになっただろうか。そこで、その推論を推し進めて、異星人と人類の接近遭遇を描いてみよう。