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令和3年7月14日 北陸中日新聞朝刊

わがまちの偉人
在来イワナ保護に力


鶴野俊一郎 1923〜2018年
石川県白山市 元白山白峰漁協組合長


新聞記事 光を浴びて輝く魚体には、普通のイワナにある模様がなかった。石川県白山市白峰の牛首川水系の渓流に生息する無班イワナ。鶴野俊一郎は太平洋戦争中に解散した白峰漁協(現白山白峰漁協)を再興し、無班イワナに代表される在来イワナの保護に情熱を燃やした。

(吉田拓海)

 イワナは河川ごとに模様などの魚体の特徴が異なる。特に牛首川上流に生息する無班イワナは、大小の斑点が散らばる普通のイワナとは異なり、模様がない白銀色で背は薄緑色。国内でも希少とされる。
 最初にイワナの保護に立ち上がったのは鶴野の祖父、奥左衛門だった。一九〇一年、内水面で県内初の漁協の設立に尽力。当時、福井県からイワナやヤマメを目的にした釣り人が大挙して訪れ、乱獲や放流による交雑が心配されていたのが発端だった。
 しかし、そんな漁協も四十年余りが過ぎた四五年、終戦直前の混乱の中で当時の組合長の判断で解散してしまう。当時二十代だった鶴野は「反対だったが若い自分にはどうしようもなかった」と後に話している。漁協の解散により、手取川ダム(八〇年完成)の建設時に漁業者として組織だった動きができず、悔しい思いをしたという。
 こうした中、鶴野は、私費を投じて在来イワナの稚魚の放流に取り組む。白峰の全住民に組合員になってもらって行政に働き掛け、解散から四十年近くたった八三年、念願の漁協を復活させた。
 放流は漁協に引き継がれ、無班イワナがいる牛首川上流の限られた渓流は禁漁区に指定した。周囲に「在来イワナを保護しなければ消えてしまう」と熱く語り続け、九六(平成八)年に無班イワナの白峰村(現白山市)の天然記念物指定を実現した。
 澄んだ冷たい水が流れる福井県境にほど近い養殖施設は、漁協が鶴野から受け継いだ。保護だけではなく、無班以外のイワナは飲食店に卸したり、釣り人向けに河川に放流したり、水産資源の有効活用に役立っている。
 鶴野の義理の弟にあたる、漁協組合長の加藤唯央(七八)は、魚のことに熱心で曲がった事が大嫌いな人だったと振り返る。「研究するのが好きな学者気質で、釣りも上手な人やった」
 漁協は無班イワナの県天然記念物登録を目指している。故郷の美しい渓流と魚を守ろうとした鶴野の思いは、絶えることがない牛首川のように、地域に受け継がれている。

(敬称略)


つるの・しゅんいちろう
石川県白峰村(現白山市白峰)生まれ。松任農学校を卒業後、県に就職し、県農業試験場の栽培部長などを務めた。1989年に白山白峰漁協の組合長に就任。25年間、地域の漁業発展に尽くした。95歳で死去。


キャプション
上)普通種のイワナとは異なる特徴がある無班イワナ
下)鶴野俊一郎が守った「無班イワナ」を見守る加藤唯央組合長。研究のため少数を保護している=いずれも石川県白山市白峰で


(以上原文引用)



記事一覧

◆令和3年7月14日 北陸中日新聞朝刊
わがまちの偉人 在来イワナ保護に力
◆令和3年6月8日 北國新聞朝刊
白峰のイワナ守る 「在来型」飼育場を新設
◆平成30年5月5日 北國新聞朝刊
加賀竿 欧米市場釣る 強度高め大物対応
◆平成30年3月25日 北國新聞朝刊
テンカラ釣り用 伝統技法で毛針
◆平成30年3月22日 北國新聞朝刊
無斑イワナの剥製完成
◆平成29年3月13日 北陸中日新聞朝刊
渓流釣りPRリーフレット
◆平成27年9月7日 北國新聞朝刊
白山のイワナ保存へ紙芝居
◆平成27年5月26日 北國新聞朝刊
北國風雪賞 一隅を照らす 白峰漁協前組合長 鶴野俊一郎氏
◆平成26年8月25日 北國新聞朝刊
環境保全 マークで啓発
◆平成24年3月31日 北國新聞朝刊
白山のイワナ守る

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