プレスリリース
平成27年5月26日 北國新聞朝刊
白山源流のイワナ守る 漁協復活運動に執念
白峰のイワナは昔からの純然たる血統を守ってきました。白山源流に生息する「在来型イワナ」で、中には斑点のない「無斑イワナ」という珍しい種類もいます。石川県水産試験場に照会したら、全国で2、3例しかない非常に貴重なものであることが分かったんです。生息する場所は禁漁河川に決めてありますが、知らないで釣りに来る人がいる。守り続けるのは本当に大変なことです。
<旧白峰村に陳情して、1996(平成8)年には白山源流生息イワナの村の天然記念物指定を実現した。昔ながらの生態系を守りたいとの思いからの運動だった>
実は白峰漁協は1度つぶれています。終戦直前、世話をしていた人が解散を宣言したんです。専業の漁師もいるのに、もってのほかと思いましたが、当時は若かったので反対してもだめでした。
<前身の白峰漁協は1900年に政府が漁業法を制定した直後に設立された。中心になったのは祖父の奥左ェ門氏だった。祖父がつくった漁協がなくなった悔しさが復活運動に駆り立てた>
白峰になぜ漁協ができたかというと、福井県境を越えて釣り人が押しかけてきたことがあります。それを止めるために祖父が奮起したんです。しかし、漁協がなくなったため、1970年代に手取川ダムが造られた時も、漁業者としてものを言うことができず、至極残念でした。
漁協を再び興すには実績が必要と県から言われ、自腹を切るようにしてイワナ、ヤマメを放流し続けました。白峰、桑島区民全員に組合員になってもらい、地域を挙げて訴えた結果、ようやく復活できたんです。漁協が解散してから約40年、執念だったと思います。
<手取川で発生している濁流は管内の漁場に影響ないものの、内水面漁協に関わる者として早期の終息を願う>
水の状態によって魚は1日で死んでしまうことがあります。清流の大切さを実感します。今も組合の養魚場を毎日訪れ、稚魚にエサを与えています。漁協をやっていくということは魚をずっと見守るということなんです。
白峰に釣りにくる人は年間2千数百人になる。それだけの人が楽しんでくれるのは地域の魅力です。いつまでも地域とともにある漁協であることを望みたいですね。
つるの・しゅんいちろう
白山市白峰生まれ、松任農学校卒。県職員時代は県農業試験場栽培部長や河北潟分場長を務める。県を退職後、旧白峰村開発公社常務理事として保養施設「御前荘」の建設や、村観光協会の設立などに関わり、1983(昭和58)年の白峰漁協の設立で中心的な役割を果たした。漁協では専務理事を経て89年に組合長に就任、昨年5月に退任するまで25年間務めた。現在は顧問。91歳。
(以上原文引用)
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